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2024/05/18 19:13 |
試みる


ごぶさたーん。
ついった上のボルケーノ祭に間に合わなかった若話。
そのままお蔵入りさせるのもアレなので、ここにレッツブローしたいと思います。
2年?3年?もしかしたらもっとか?・・・まぁそのくらいブランクがありますので、それ相応の出来です。
最終的に3500文字も書いてたぜ・・・(゚A゚;)
が!若を愛している事には変わりない(゚ε゚)!!



設定的には、強がりで意地っ張りなデイジー視点。
卒業後3ヶ月~半年ってところでしょうか。
デイジー=海野
若は「若サマ」呼びです。


では・・・以下畳んであるので気になる方はどうぞw
 





土砂降りの中どれだけ走っただろう。
300メートル?500メートル?・・・多分1キロなんて事はないはず。
少なくとも私には、後ろからヨロヨロと駆け寄ってくる人物に声を掛ける余裕がある。

「あとちょっとですよー!」

私の声に顔を上げ、困ったように眉を下げて笑った彼は、恐らく余力ギリギリであろう力を振り絞って少しだけスピードを上げた。その様子を見ながら思わず苦笑してしまう。
こんなに情けない陸上部顧問は、世界中にあとどれくらい居るのだろう。
私の予想だと多分───いない。
そんな“レア顧問”をまじまじ見てしまうのも少し気が引けたので、濡れてしまった前髪を整える為に視線を外してあげる事にした。額に張り付く不快感を手櫛で取り除くと、思った以上に雨を吸ってしまっていた事に気付く。それに悲観しつつ、最早こうなっては邪魔にしかならない後ろ髪を束ねる為、左手首にはめていたヘアゴムに指をかけた。
その一瞬。その手首を掴まれてしまった。

「海野さん、捕まえ・・・ま・・・したっ」

鬼ごっこをしていたつもりはないのだけれど、背中を丸め体全体で呼吸をしている彼を見るとどうもツッこむ気にはなれなかった。掴まれた反動でヘアゴムから離れてしまった指を、彼の柔らかい髪に運んでみる。普段のそれとは違う感触で、触れたところから大粒の滴が足元へ落ちるのが見えた。
けれど、その光景に見惚れる暇も無く。まるで猫のようにふるふると頭を振るもんだから慌てて手を離した。
突然の行動にそれ以上の反応が出来なかった事が悔やまれる。そこかしこへ飛散した水滴が当然のように私の顔やら体やらを濡らした。
やらかした当の本人はと言えば、悪びれもせず憎たらしいほど柔らかい笑顔で 相変わらず足が速いですね なんて言う。なんだか釈然としなくて、ちょっとだけ意地悪を言ってみたくなった。

「そういう若サマは相変わらず・・・陸上部の顧問っぽくないですよね」

なかなかの意地悪っぷりだったと思う。顔を濡らした水滴を大袈裟に拭いながら含み笑いまでしてみせた。それでも微塵も堪える様子はないようで。

「ややっ、それは聞き捨てなりませんね」

そう言いながら得意げな顔で、走り高飛びはどこも傷める事なく飛べるようになっただとか、部活に遅れる事も少なくなっただとか、子供なんだか大人なんだか良く解らない自慢をし始めたのだが・・・

「って・・・それじゃ説得力ないですよ」

どこからともなく「よっこいしょ」とでも聞こえてきそうなアクションで屋根付きベンチに腰掛ける彼を見て、今度こそツッコミを入れざるを得なくなってしまった。
確かにそうだ と、可笑しそうに笑う彼の前に立つと、何を勘違いしたのか嬉しそうに両手を広げてニコニコ顔。きっと、「おいで」って事なのだろう。
何か上手く誤魔化されている気もするが、ひとまずそれに従い、その両腕の間へ一歩踏み込むと途端に抱き包まれてしまった。


「・・・暖かいです、とても。それから雨の匂いがします」
「なっ・・・!」


まったく。なんだってこの人は反則技ばかり使うのだろう。
急に向けられる柔らかい笑顔だってそうだし、天然っぽさもそう。暖かくて真っ直ぐで変なところに大真面目。時々その言動に、眩暈がする程愛おしくなる。今だってバカみたいに甘えて・・・その割に妙に力強くて。
こんなんじゃ意地悪の続きが出来ないじゃないか。

「どうかしましたか?」

複雑な顔をしたまま動かない私に何か感じたのか、腕の力が少し弱まり、胸下から不安げな顔を覗かせる。きっとこれも大真面目なんだろうけど、このシチュエーションでこんな顔をするのはやっぱりズルイと思う。

「もしかして何か怒ってる?」
「・・・反則技ばっかり使うからです」
「えーと、なんの事でしょう」
「ハァ・・・やっぱり自覚ないんですね」
「あっ。もしかして苦しかった?」

まるで見当違い・・・ってわけでもないかもしれない。
愛おしい気持ちと、なんだか訳の解らない腹立たしさ。このゴチャゴチャな気持ちを表現するのであれば、確かにそれは「苦しい」なのだ。
だからってそれを説明出来るほど器用じゃないし、余裕も無い。それになんだか口に出してしまうのは悔しいし。

苦しかった?の問いに答えられない私は、もう半ばやけくそになりながら彼の頭に手を回し、ギュッと自分に押し寄せた。こちらの都合が悪い時に限って勘が鋭くなる彼に、これ以上表情を読み取らせたくなかったから。

(しまった・・・!)

後悔したが早いか、口が開かれたが早いか。とにかくこの行動は逆効果で。

「そういえばココ、ドキドキしてます」
「!!!そ、それは・・・さっき走ったから・・・」
「・・・本当に?」

慌てて引き離そうとしたけど、いつの間にか腰に回された腕が逃がしてくれない。
とりあえず思い付く限りの抵抗はしてみたものの、一瞬の隙を見計らわれてしまったらしい。
今度は私の頭が引き寄せられて、何がなんだか解らないうちに唇を重ねられていた。
嘘はいけません───耳元でそう囁くオマケ付で。

上体を元に戻した後横目で彼を確認すれば、例の憎たらしいほど柔らかい笑顔がそこにはあって。なんだか大人の余裕ってやつを見せ付けられたような気がする。
一体いつの間に形勢逆転されたのだろう。そもそも意地悪してやろうと思ったきっかけは何だったか。
・・・
あぁ。思い出した。我ながら小さい事をここまで引き摺るなんて、本当に子供っぽい。
それでもやっぱり・・・やられたままでは気が済まない自分が存在していて。
ただの八つ当たりになるのは承知の上だけど、最初のきっかけと反則技の分を精一杯の意地悪に変える為に、限界まで息を吸い込み一気に吐き出す事にした。

「もう!若サマのバカー!アホー!」
「あ、今のはちょっと効きました。ちょっぴり涙が・・・って、わっ!」

突然の(そう見えるらしい)反撃に面食らった彼の前髪を目掛けて歩み寄る私は、今日一番の意地悪顔に違いない。




それから数分後。
暫しの格闘の末手に入れた勝利を噛み締めていると、すっかりしょぼくれてしまった彼の口が開かれた。

「どうしてもダメですか?恥ずかしいです・・・」
「ダメです。帰るまでそのままですからね」
「・・・ややっ!急に晴れてきたような気がします!さぁ、帰りましょう!」
「完全に気のせいです!」

がっくり項垂れる彼のその頭には、私の反撃によって出来上がった意地悪の印がある。そう。前髪を「ちょんちょこりん」に結ばれた意地悪の印が。
まぁ・・・割と似合ってしまっているのが癪だけど。本人は恥ずかしがっているようだから、一応は成功という事にしておこうと思う。
なんだか海野さんが意地悪です そう恨めしそうにぼやく声も聞こえた事だし。

「それにしてもやみませんね、雨」

通り雨かと思えた雨も、降り出してから暫く経つ。少し風が出てきたせいで、さっき濡れた服や髪を巻き込んで体全体が冷えていくのが解った。
流石に意地悪の延長戦だけでここに居続けるのは良くないかもしれない。

「若サマ、走れます?」

近くに傘が買えるお店も無さそうだし、このまま降り続くようなら思い切って走る他に選択肢は無さそうだ。本当はもう少し拗ねた彼を見ていたいけれど、そうも言っていられない。
隣を見てみれば、座っていたはずのちょんちょこりんは何時の間にか立ち上がってストレッチを始めている。

「陸上部顧問をナメちゃいけません」
「む。嬉しそうなところが引っ掛かりますけど・・・決まりですね!行きますよー」

彼のアパートはここからそう遠くない。何度か訪ねた事のあるその部屋を、当たり前のように目的地へと設定した。
覚悟を決めて屋根付きベンチから足を踏み出すと、一歩遅れて彼も後を追ってきたようで、それから程なくして彼の声が私の背中に届く。

「そうだ。帰ったら一緒にお風呂に入りましょう」
「はいっ!?」

何を言ったのかと思わず減速すると、すぐに追いついた彼は並走しながら例の憎たらしい程柔らかい笑顔を振りまいた。

「だって体はちゃんと温めないといけません」
「だからって一緒に入らなくても・・・」
「その方が効率いいでしょ?うん、それにきっと楽しいです」

唖然。呆然。絶句。
とにかく一瞬にして私の動きは封じ込められたようだ。足取り軽く先を行く彼の姿を目で追いながら、改めて敵わないと悟ってしまった。
本人に自覚があるのか無いのか・・・そこは解らないけれど、きっとあのアパートで意地悪の仕返しが私を待っているに違いない。

「海野さーん。早くしないと風邪ひいちゃいますよー」

手を屋根にして、足踏みしながら楽しそうに待つちょんちょこりん。
そんな彼にちょっとだけ苦笑して足を踏み出す。
あの狭いお風呂場で仕返しを受ける覚悟を決めて。




**********

□言い訳的な事□
まぁ・・・うん。
プロット立てたくせに、全然書きたい事書けなかった\(^o^)/
ちょんちょこりんってワードを思い付いてしまってから修正が利かなくなったよー\(^o^)/
ホントは、ほんわか→シリアス→ほんわか な感じにしたかったんだーい!

とりあえず、風呂無しアパートのイメージをぶち壊してやったぜ・・・!妄想は捻じ曲げた。うん。
狭い浴槽で逃げるデイジーを、若が後ろから羽交い絞めにすればいいさ。
「逃がしません^^」とか言えばいいさ。
2人共ちょんちょこりんに結んで、並んで風呂に入るがいいさ。
む・・・なにそれ可愛い。


因みに、勢いでうp&カテゴリー作ったはいいけど、今後このカテを使う予定はないw
というか力尽きたorz

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2010/11/03 01:05 | Comments(0) | TrackBack() | 創作話

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